ど田舎から始めるWeb制作会社戦記  ~このページは99%ファンタジーです~

第5話 Webデザイナーは諦めつつある

この会社のWebデザイナーは2匹のネコをこよなく愛している。
ネコと戯れるために定時には家に帰るし、飲み会にも可能な限り参加しない。休日の多くの時間もネコと遊ぶことに費やしている。
こんにちは。ネコ科に属しているちほうタイガーです。

「トラじゃん」

…トラってね、ネコ科ヒョウ亜科ヒョウ属なんですよ…つまり本質的にはネコと言っても差し支えないのではないかと…

「えーそれはちょっと…かわいさが違うかなと…
 いや、決してちほうタイガーがかわいくないという意味ではなく…」

…気を使っていただいてありがとうございます…ちょっとだけ愛されキャラになってみたかっただけなので…さて、気を取り直してお仕事です。ど田舎から始めるWeb制作会社戦記の取材なんですが…

「え…確か在籍年数順ですよね…一応私まだ20代なんですけど…」

役職員名簿で確認したので間違いありません。あなたがこの会社5番目の古参です。

「うそ…そう言われてみれば私の20代ほぼこの会社かも…」

そもそもなぜこんなど田舎のWeb制作会社に就職をしたのでしょうか。

「最初は…新潟市の別の会社に就職したんです。そこでは服とか雑貨とかを売っている店員だったんですけど、人間関係とか合わなくて…1年位で故郷にUターンした感じです。なんでこの会社だったかは…その当時は佐渡島で事務仕事があまりなかったというのもありますし、あとはたまたま求人が見つかったからかな」

つまり最初からWebデザイナーになりたかったわけではないと…

「そうなりますね。デザインはまぁ好きなのでWebデザイナーというお仕事自体は続けていきたいですけど」

ウチの会社って、基本的に皆コーディングできますよね。Webデザイン専門ってそれだけデザイン力が評価されているということなのではないでしょうか。いつも結構大きな会社さんのデザイン案件を並行で担当されてますよね。

「いや実は…最初の頃に他の仕事も試されて…でも適性が無いってなって…結局『Webデザイナーとしてなら数年鍛えればなんとかなるかも』『4年間東京に修行に行ってみたら』となって、4年間東京に転勤して、2年前に佐渡島帰ってきた感じです」

第1話の彼が言いそうですね…

「まぁしょうがない面もあったと思います。入社した時点ではPCを触ったこともほとんどなかったんで…」

………
この会社に普通の人間が居ないことはわかっていたことじゃないか…
…よくそれでWeb制作会社に入ろうと思いましたね…

「あっ、でも、面接時にちゃんとそれは伝えていて、その場でなんか北斗の拳っぽいタイピングソフトを指定されて、『1週間後までにはキー入力はできるようになってきて』って言われて、タイピングは出来るようになってから入社しましたよ」

『あたたたた…』とか叫びながらやるやつですね…

「いや、自分では叫びませんけど…」

…それで、佐渡島に帰ってしばらく経ってますけど、東京とのギャップとか島ならではの悩みとかありますか。

「仕事に追われていることと…あとは…出会いの場がないことかな…」

…基本的に定時で帰ってますよね。その後地域の活動とかサークルとかに出てみては…

「いやいや、家でランマオとシェンマオが待っているんで…」

…愛されているネコだなぁ…それでは、土日とかに外に出てみては…

「休日もお昼くらいまではランマオ、シェンマオと遊んでるから家の中ですね。
 日曜日の午後少しだけ買い物に出るくらいの生活かな」

それは出会いの場がないのも自業自得では…では、このスペースで彼氏募集とか出してみてはどうでしょう?

「いや、それ恥ずかしくないっすか…」

しかし、そろそろお母さんとかがまわりに売り込みとか始めたりしてないですか…

「ぐぬぬ…どうしてそれを…」

…佐渡島の噂話は光回線並に早いのだ…さぁ希望の条件をどうぞ…

「えー必須条件としては…身長が自分以上で、背筋が伸びていて、スポーツをしている人がいいです。あと家を継がないといけないので婿で」

婿とかガチの条件キター!!

「十分条件としては、スーツを着ている人で、いやでも作業着でもカッコよければいいんですけど、イケメンで、できれば眼鏡かけてる人がいいです」

ふむふむ、ところで身長条件が必須になってますけど、あなたの身長結構高いですよね…

「…172cmです」

…もうそれだけで日本の男性の半分が候補から外れてしまうんですが…あと『イケメン』ってどの程度希望なんでしょう?

「SEVENTEENのジョンハン推しっすよ。こういう中性的なカッコ良い人が理想です」

それ無理じゃねぇ…?

「…なので、ほぼ諦めモードっすよ…」

身長と婿とジョンハンのどれかを妥協するとかは…

「流石にジョンハンみたいなイケメンはいないので、そっちは必須ではないです」

身長と婿はやっぱり必須なんだ!?
それでは、今後の仕事に対する抱負や希望などを…

「デザインだけではなく、ディレクションやコーディングも頑張ります。なので完全リモートで家で作業したいです」

それってやっぱり…

「ランマオ、シェンマオともっと一緒に居たいので」

ランマオとシェンマオによろしく…

アユミ.N

アユミ.N

属性
無属性
種族
残念系族
称号
パンドラの箱を埋める者
フレーバーテキスト
彼女もいわゆる残念系である。Webデザイナーとして頑張っているが引きこもりである。
パンドラの箱を保有しても、開けずに埋めてしまうのかもしれない。さすれば災厄もまた封じられるであろう。