【2026年9月版】MariaDBのバージョンとAmazon Linux、RHEL系OSによるバックポートについて

皆さんこんにちは。
taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。

本記事は、MariaDB Serverのバージョンと、各種OSによるバックポート対応についてまとめたもので、2026年9月4日に改訂しています。

MariaDB Serverはオラクル社がサポートをしているオープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)であるMySQL Community Editionのフォーク(既存のソフトウェアをコピーして変更を加えた独自のバージョン)です。
MariaDBのバージョン情報とサポート期限についてはこちらをご覧ください。

2026年9月4日現在、MariaDB Server LTSリリースの最新バージョンは12.3であり、MariaDB公式がセキュリティサポートをしているLTSリリースのバージョンは、12.3、11.8、11.4、10.11の4系統のみです。
※MariaDB Server 10.6については、無料版(Community)のサポートが2026年7月6日に終了しました。

もっとも、最新バージョンではないMariaDB Serverを使用していても、直ちに危険な状態になるとは限りません。OSによっては、MariaDB Serverの古いバージョンに対しても、緊急、重大な脆弱性に対してバックポートと呼ばれる方式で修正を適用するケースがあるためです。

そこで、この記事では、企業のWeb担当者の皆さまに向けて、Web系でよく使用されるAmazon Linux、RHEL系のOSごとのバックポート対応方針とともにご紹介することで、できるだけ安心してMariaDB Serverを使用していただけるようにしたいと思います。

少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

バックポートとは

バックポートとは、新しいソフトウェアのバージョンや開発ブランチで作成された脆弱性修正やバグ修正を取り出し、旧バージョン系列へ移植(backport)して適用する手法を指します。

MariaDB公式側で延長サポートが終了したPHPバージョンであっても、OSベンダーが提供するMariaDB Serverパッケージについては、ベンダー独自のライフサイクル内でセキュリティ修正が継続される場合があります。

これは、MariaDB公式による延長サポートが再度延長されるという意味ではありません。MariaDB公式では事実上のEOLとなったバージョンについて、OSベンダーが自社で提供するMariaDB Serverパッケージを、バックポートなどにより独自に保守している状態です。

ただし、どの脆弱性を修正対象とするか、どの重要度まで対応するかは、OSベンダーや製品、サポートフェーズによって異なります。すべての脆弱性に対して必ず修正が提供されるわけではありません。

また、どのMariaDB Serverバージョンに、どの範囲まで適用するかはOSごとに方針が異なるため、事実上のEOL後のMariaDB Serverのバージョンに公式サポートと同等の脆弱性対策が継続されることを意味しているわけではありません。

したがって、MariaDB公式のMariaDB Serverのバージョンが事実上のEOLであっても、OSベンダーのMariaDB Serverパッケージがサポート期間内にあり、最新のセキュリティ更新が適用され、対象となる脆弱性についてベンダーが修正済みまたは影響なしと判断している場合には、当該脆弱性の影響があると判断するべきではないケースがあります。

Amazon Linux 2023におけるパッチ適用対応(バックポート含む)

Amazon Linux 2023のコアパッケージは、原則としてAmazon Linux 2023のサポート終了日である2029年6月30日までサポートされますが、MariaDB Serverのように独自のアップストリームサポート期限が設定されているパッケージについては、Amazon Linux 2023本体よりも早くサポートが終了する場合があります(Packageサポートのステータスに掲載されています)。

2026年7月24日時点のAmazon Linux 2023のパッケージスナップショットでは、MariaDB Server 10.5、10.11、11.4、11.8および12.3のパッケージが収録されていることを確認できますが、MariaDB Server 10.5については2025年6月にサポート期限が到来しています。

MariaDB Serverのバージョン Amazon Linux 2023のServerパッケージ Amazon Linux 2023におけるサポート期限
12.3 mariadb123-server 未掲載
11.8 mariadb118-server 未掲載
11.4 mariadb114-server 2029年5月まで
10.11 mariadb1011-server 2028年2月まで
10.5 mariadb105-server 2025年6月まで

※ここで説明しているAmazon Linux 2023のサポート方針は、Amazon Linux 2023の公式リポジトリから導入したMariaDBパッケージに限って適用されます。
※MariaDB 12.3と11.8はAmazon Linux 2023のリポジトリに収録されていますが、現在公開されているPackageサポートのステータスには、系列ごとの個別期限が掲載されていません。MariaDB 11.8は2026年6月に、MariaDB 12.3は同年7月にコアパッケージに追加されましたが、同ページのデータ生成日時は2026年4月6日であることから、ページ更新が追い付いていないものと考えております。

このため、AWSのEC2内でMariaDB 11.4ないし10.11を使用されているケースなどでは、Amazon Linux上での影響やデフォルト構成などを考慮してセキュリティ更新と不具合修正の対象になることがあることから、実際にALAS(Amazon Linux Security Advisory)を都度確認する運用が推奨されます。

なお、Amazon Linux 2023によるバックポートを検討するケースは、Amazon RDS for MariaDBを使用せず、EC2に独自にAmazon Linux 2023の公式リポジトリからMariaDB serverをインストールして使用する場合のみですので、限定的なケースであることを付記しておきます。

Amazon RDS for MariaDBにおけるパッチ適用対応

一方で、Amazon RDS for MariaDB(AWSが管理するマネージドDBとしてのMariaDB)については、個別のパッチ適用方針が存在します

まず、Amazon RDSのMariaDBバイナリは、MariaDB CorporationおよびMariaDB Foundationが提供するRPM/DEBパッケージではなく、MariaDBをベースとして AWSが独自ビルドしたものであることから、AWS独自のライフサイクルとパッチ適用ポリシーが存在します。

一般的には、MariaDB公式サポートよりも長い期間サポートされる傾向がありますが、RDSは独自のライフサイクル管理を行っていますので確認が必要です。

MariaDBメジャーバージョン RDS標準サポート期限 2026年9月4日時点の状況
12.3 2029年6月 サポート中
11.8 2028年6月 サポート中
11.4 2029年5月 サポート中
10.11 2028年2月 サポート中
10.6 2026年12月31日 サポート終了間近
10.5 2026年8月 サポート終了

※RDS for MariaDBの対応バージョンやサポート期間、マイナーアップデート、パッチ適用状況については、公式ドキュメントの 「MariaDB on Amazon RDS versions」に掲載されています(日本語ページと情報が異なる部分がありますが、英語サイトを正と判断しています)。
※上記RDS標準サポート期限は、MariaDBメジャーバージョン毎のRDS標準サポート期限であって、年月のみで示される日付は概算であり、具体的な日付が確定した後に更新されます。例えば、MariaDB server 10.6については、以前はRDS標準サポート期限は2026年11月と記載されていましたが、その後、10.6.25のリリース時に、サポート期限は2026 年 12月31日と確定されました。これにより、RDS標準サポート期限も更新されたことになります。

RHEL 10、AlmaLinux OS 10、Rocky Linux 10におけるMariaDB Serverに関するバックポート対応

RHEL(Red Hat Enterprise Linux)10及びその互換ディストリビューション(AlmaLinux OS 10、Rocky Linux 10)のMariaDB Serverパッケージでは、基本的に、セキュリティ修正を上流の最新版へ更新するのではなく、既存パッケージへ修正を移植するバックポート方式を採用しています。
変更内容は、それぞれ、RHSA(Red Hat Security Advisory)、ALSA(AlmaLinux Security Advisory)、RLSA(Rocky Linux Security Advisory)で確認できます。

RHEL 10のApplication Streamsには、RHEL本体とは別に個別のRetirement Dateが設定されるApplication Streamと、基盤となるRHELメジャーバージョンのライフサイクルに沿って保守されるFull Life Application Streamがあります。

RHEL 10では、MariaDB Server 11.8がApplication Streamとして、MariaDB Server 10.11がFull Life Application Streamとして提供されています。

MariaDB Server 11.8(RHEL 10 Application Stream)

  • ・Retirement Date:2028年9月

RHEL 10 Application Streams Release Life Cycle参照
※MariaDB公式の無償版サポート終了日(2028年6月4日)より3か月ほど長いサポート期間となっています。

RHEL Application Streams のサポート期間は、必ずしもMariaDB公式のライフサイクルと一致するわけではありません。
そのため、RHEL 10のMariaDB Server 11.8パッケージを利用している場合には、MariaDB公式のEOL後であっても、バックポート方式によるセキュリティサポートを受けることができる期間があります。

MariaDB Server 10.11(RHEL 10 Full Life Application Stream)

  • ・Retirement Date:2035年5月頃

RHEL 10 Full Life Application Streams Release Life Cycle参照
※MariaDB公式の無償版サポート終了日(2028年2月16日)より長いサポート期間となっています。

MariaDB Server 11.8及び10.11とAlmaLinux OS 10及びRocky Linux 10について

AlmaLinux OSはRHELとのABI互換性を維持しながら、必要に応じて独自に修正を取り込む方針です。
一方、Rocky LinuxはRHELとのbug-for-bug互換を目標としていますが、ソースの取得やパッケージ公開はRocky Linuxプロジェクトによって行われます。

このため、RHELのアドバイザリだけで修正済みと判断せず、AlmaLinuxではALSA、Rocky LinuxではRLSA及び各ディストリビューションの実際のRPMパッケージを確認する必要があります。

RHEL 9、AlmaLinux OS 9、Rocky Linux 9におけるMariaDB Serverに関するバックポート対応

RHEL(Red Hat Enterprise Linux)9及びその互換ディストリビューション(AlmaLinux OS 9、Rocky Linux 9)では、原則として、セキュリティ修正を上流の最新版へ更新するのではなく、既存パッケージへ修正を移植するバックポート方式を採用しています。
変更内容は、それぞれ、RHSA(Red Hat Security Advisory)、ALSA(AlmaLinux Security Advisory)、RLSA(Rocky Linux Security Advisory)で確認できます。

RHEL 9では、MariaDB Server 11.8及び10.11がApplication Streamとして、MariaDB Server 10.5がFull Life Application Streamとして提供されています。

MariaDB 11.8(RHEL 9 Application Stream)

  • ・Retirement Date:2028年9月
  • ・MariaDB公式の無償版サポート終了日(2028年6月4日)より3か月ほど長いサポート期間となっています。

※「RHEL 9 Application Streams Release Life Cycle」を参照

MariaDB 10.11(RHEL 9 Application Stream)

  • ・Retirement Date:2028年5月
  • ・MariaDB公式の無償版サポート終了日(2028年2月16日)より3か月ほど長いサポート期間となっています。

※「RHEL 9 Application Streams Release Life Cycle」を参照

MariaDB 10.5(RHEL 9 Full Life Application Stream)

  • ・Retirement Date:2032年5月頃
  • ・MariaDB公式の無償版サポート終了日(2025年6月24日)より長いサポート期間となっています。

※「RHEL 9 Full Life Application Streams Release Life Cycle」参照

MariaDB Server 10.11及び10.5とAlmaLinux OS 9及びRocky Linux 9について

AlmaLinux OSはRHELとのABI互換性を維持しながら、必要に応じて独自に修正を取り込む方針です。
一方、Rocky LinuxはRHELとのbug-for-bug互換を目標としていますが、ソースの取得やパッケージ公開はRocky Linuxプロジェクトによって行われます。

このため、RHELのアドバイザリだけで修正済みと判断せず、AlmaLinuxではALSA、Rocky LinuxではRLSA及び各ディストリビューションの実際のRPMパッケージを確認する必要があります。

RHEL 8、AlmaLinux OS 8、Rocky Linux 8におけるMariaDB Serverに関するバックポート対応

RHEL(Red Hat Enterprise Linux)8及びその互換ディストリビューション(AlmaLinux OS 8、Rocky Linux 8)でも、原則として、セキュリティ修正を上流の最新版へ更新するのではなく、既存パッケージへ修正を移植するバックポート方式を採用しています。
変更内容は、それぞれ、RHSA(Red Hat Security Advisory)、ALSA(AlmaLinux Security Advisory)、RLSA(Rocky Linux Security Advisory)で確認できます。

RHEL 8では、MariaDB Server 10.11及び10.5がApplication Streamとして、MariaDB Server 10.3がFull Life Application Streamとして提供されています。

MariaDB 10.11(RHEL 8 Application Stream)

  • ・Retirement Date:2028年5月
  • ・MariaDB公式の無償版サポート終了日(2028年2月16日)より3か月ほど長いサポート期間となっています。

※「RHEL 8 Application Streams Release Life Cycle」を参照

MariaDB 10.5(RHEL 8 Application Stream)

  • ・Retirement Date:2026年5月
  • ・MariaDB公式の無償版サポート終了日(2025年6月24日)より10か月ほど長いサポート期間となっていましたが、2026年9月4日現在RHEL 8によるサポートも終了しています。

※「RHEL 8 Application Streams Release Life Cycle」を参照

MariaDB 10.3(RHEL 8 Full Life Application Stream)

  • ・Retirement Date:2029年5月頃
  • ・MariaDB公式の無償版サポート終了日(2023年5月25日)より長期のサポート期間となっています。

※「RHEL 8 Full Life Application Streams Release Life Cycle」参照

MariaDB Server 10.11、10.5、10.3とAlmaLinux OS 8及びRocky Linux 8について

AlmaLinux OSはRHELとのABI互換性を維持しながら、必要に応じて独自に修正を取り込む方針です。
一方、Rocky LinuxはRHELとのbug-for-bug互換を目標としていますが、ソースの取得やパッケージ公開はRocky Linuxプロジェクトによって行われます。

このため、RHELのアドバイザリだけで修正済みと判断せず、AlmaLinuxではALSA、Rocky LinuxではRLSA及び各ディストリビューションの実際のRPMパッケージを確認する必要があります。

MariaDB Serverのバージョンアップに強いWeb制作会社をお探しの場合にはご相談ください

MariaDB Serverのバージョンアップについては、Webアプリケーション側に不具合が発生する確率が高く、工数がかかることが予想されます。
この場合、不具合の原因を特定し、これを改修できる専門的な知識が必要です。

また、Web制作会社はいわゆるWebアプリケーション側(WebサイトやCMS等)を専門としていますので、MariaDB Serverを含めたミドルウェアについては対応されていない会社も多いと思います。

taneCREATIVE株式会社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されている企業であり、MariaDBと各種OSについても知見を有しています。

※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを 構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。

他社様が制作・開発されたWebサイトのバージョンアップ・マイグレーションについても、ケースによってはお引き受けしておりますので、ミドルウェアを含めたWebサイトの保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。

なお、当社は、セキュアなWebサイト制作及びWebサイトのセキュリティ保守管理に特化したWeb制作会社として、東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場しておりますので、与信管理についてはIR情報をご確認ください。

この記事を書いた存在
ちほうタイガー

taneCREATIVEに所属する謎のトラ。